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こんにちは、Ichi先輩(@Abstract1Life)です。
今回は、大学院生の私が読んだ本の中でおすすめ出来る書籍の感想をそれぞれの本ごとにまとめてご紹介しようと思います。
紹介するジャンルはバラバラで、小説や実用書など入り混じった形になっています。特に学生・社会人など対象の方が決まった本ではないので、色んな方に楽しんでもらえるor役に立つ内容の本ばかりですよ。
目次
スタンフォードのストレスを力に変える教科書
スタンフォードのストレスを力に変える教科書 スタンフォード シリーズ[Kindle版]
1.どんな本?あらすじは?
この本の主題は、ストレスに対する認識を変えることです。
様々な研究の末に、ストレスに対しての考え方を変えることがとても健康に良いということが明らかになったことを徹底的に教えてくれます。
昔:ストレスは身体に害だ!ストレスを無くすためにはどうしたらいいか?
今:ストレスは身体を状況に合わせて調整してくれるんだ。うまく付き合おう!
つまり上記のような考え方の変化を行うべきだということを様々な事例を通して、研究成果とともに丁寧に書かれています。
2.他の本と比べてどこがすごい?どこが面白い?
今までの私たちが考えていたストレスに対する考え方とは、真逆になるようなことが多々載っていて、眺めているだけで「すごい」というのが正直な感想です。
実際にストレスに対する考え方の違いで、平均寿命にまで違いが出てくるような研究データが出ていますし、1つ1つのデータが面白いです。
また、普通の考え方を示すような自己啓発本とは違うのが、示される情報の信頼性の高さです。単純に言われたのでは信じられないような話でも、しっかりと研究の手法が示されたデータをもとに語られているので、納得できるような話が多いのも本書のすごさかと思います。
3.この本の1番の魅力的なポイントは?
本書の1番魅力的なポイントは、読み進めながら自分のストレスに対する考え方を改めることが出来る点です。
ここで間違ってほしくないのは、ただ知識が書いてある本とは違って、実際にするべき行動が書いてあるチェックリストとTIPS(ヒント)が書かれていて、それに当てはめて自分の生活を振り返ることが出来るということです。
自分がストレスに対してどんな印象を持ち、どう対処してきたのか、そして今後はどういう風に考えていったら良いのか。そういったことを各章ごとにゆっくりと自分で考えながら進めることが出来るような構成になっています。
ぜひ「後でやろう」と思って読み進めるのではなく、ペンとノートを用意して、実際にやりながら読んでみることをおすすめします。
4.筆者はどういう人?
著者のケリー・マクゴニガルさんはスタンフォード大学で健康心理学を研究している先生です。彼女が一躍有名になったのは、2013年にTEDというプレゼンテーション番組に出演したことがきっかけでした。
彼女の研究の専門領域は「健康心理学」で健康に関する様々な影響を心理学の観点から明らかにする学問です。
今ではストレスは健康に役立つということを主軸に研究を展開しているようですが、昔は彼女自身もストレスは身体に害があるということを教えていたようです。まさに真逆の考え方にたどり着いた「パラダイムシフト(価値観の転換)」の良い例ではないでしょうか。
5.本からどういう事を学んだ?
この本自体がほぼ全て学びに直結する内容ですが、特に学びになったのは「プレゼン」におけるストレスとの付き合い方の部分です。
私自身は大学院生で、プレゼンの機会が多くあるので、緊張やストレスを感じる機会は多々あります。本書を読むまでは、そのストレスがパフォーマンスを低下させるものだと勝手に思い込んでいました。
ですが、今では心臓のバクバクした高鳴りも周囲の音が聞こえにくくなるような反応も、全て私の身体がチャレンジに対して最高の状態にしてくれているんだと思う様にしています。
やはりこういう思い込みは発表の自信に繋がる部分もあって、実際に上手くいっているような気がしています。プレゼンに関する詳細な研究データも本書に載っているので、その部分もぜひ読んでいただきたいです。
6.似たような本や読みたいと思った本は?
似たような本としては、同じ著者が執筆している「スタンフォードの自分を変える教室」があります。
スタンフォードの自分を変える教室 スタンフォード シリーズ[Kindle版]
こちらの本は「ストレスを力に変える教科書」の前に出版された本で、こちらが60万部売れたベストセラーになったことで恐らく本書が出版される流れになったと思われます。
自分を変える教室では「意志」について考えることで「行動」に影響を与えるということをテーマに自分を内省できる機会を与えてくれるような本になっているようです。恐らく自身の研究を元に、様々なデータを交えて語ってくれると思うので、こちらも面白いでしょう。
恋愛の科学 / 越智啓太
1.どんな本?あらすじは?
恋愛について、適当な筆者の経験論を書いているのではなく、過去に書かれた恋愛に関連する論文の内容を抽出して、科学的に「恋愛」について解説している本です。
1章.愛を測定し診断する心理学
2章.モテるための心理学
3章.恋に落ちる過程の心理学
4章.告白と両想いを成就する心理学
5章.恋は盲目の心理学
6章.愛が壊れていく過程の心理学
7章.好きなのに傷つける理由の心理学
という7章から本文が書かれており、どの項目も興味を引かれる内容です。結婚されている方も、結婚されていない方も読み物としても楽しめる一冊だと思います。
2.他の本と比べてどこがすごい?どこが面白い?
1でも回答しましたが、多くの恋愛本は筆者の経験則を書いていることが多いです。ですが、そういった経験則はとても個人差が大きいものが多く、一般の人には当てはまらないような話がされている場合があります。
そのような本に比べて本書は学術論文として書かれたものがソースとして存在していて、統計的に有意であると判断された、つまりほぼ一般的であると考えても良い情報が載っています。情報の信頼性がとても高いのが特徴です。
3.この本の1番の魅力的なポイントは?
恋愛に関する「尺度」がたくさん載っているのが魅力的なポイントです。「尺度」とは、とても信頼性の高い心理テストみたいなものだと思っていただければいいと思います。
この本にはそのような自分の恋愛に関する傾向やパートナーとの関係性を測れるテストが満載です。なんと13個も載っています。
自分でこっそり恋愛傾向を知るのも良し、彼女とイチャイチャしながら試してみるのも良し、飲み会で「相性チェーック!」っていって盛り上がるも良しです。
4.筆者はどういう人?
著者の越智啓太さんですが、法政大学の教授です。専門は犯罪心理学で、警視庁での勤務経験がある臨床心理士の資格を持っています。
最近多くなっているデートDVやハラスメントやストーキングなどが本来はご専門のようです。
5.本からどういう事を学んだ?
今まで漠然と考えていた「恋愛」の常識みたいなものが間違っていたり、なぜそうなのかということが詳しく書いてあるので、とても勉強になりました。実際に恋愛の時に使えるようなテクニックも満載だったので、機会があったら使ってみたいですね。
きっと自称恋愛マスターみたいな奴の言っていることがいかにウソなのか分かるので、「はい、論破。」出来ると思います。
一番すぐに役立つ情報としては、告白の時の言葉のチョイスの問題があります。ベストチョイスは「好きです」でもなく、「付き合ってください」でもないんです。
「好きです、付き合ってください」という、感情+具体的な行動を提示された時が一番成功率が高いようなので、ぜひ使ってみてください。
他にも、モテるためにはどんなメイクがいいのか?ビールを飲むと恋に落ちやすくなるのか?といった話も載っているので参考になると思います。
6.似たような本や読みたいと思った本は?
こちらも越智啓太さんが書かれている「美人の正体」です。
恋愛の科学に似ていて、外見がどのくらい重要なのかということについて書いている本のようです。10章に「美人・ハンサムじゃなくても大丈夫!」という章があるので、とても気になりますね…。ぜひ読んでみたいと思っています。
ハーバード式英語学習法 / 青野仲達
1.どんな本?あらすじは?
英語の学習方法として、テーマを決めて5行のエッセイを書くことを推奨して、その書き方のルールをこの本を通して教えてくれます。つまり、テンプレに合わせてエッセイを色々書いて、それを会話の中で使いまわそうという発想の英語学習法です。
2.他の本と比べてどこがすごい?どこが面白い?
基本的な英語のルールから教えてくれて、英語の初心者にも分かりやすいのでとても読み出しやすいところが良いところです。
英語も言語なので、「意見を伝える」というところが一番大切なのに、それ以外にこだわりすぎてしまっていることを教えてくれます。ステップ式になっているので、ステップ通りに進めれば英語で意見を言えるようになるはずです。
3.この本の1番の魅力的なポイントは?
色々なテーマのエッセイを書けば、会話はそのエッセイの言い回しを使いまわせば良いというところを教えてくれたところです。
今までは、単語を覚えて、文法を覚えて、その場で会話の内容に合わせて文章を組み立てるという考え方だったのが、言い回しを作って覚えるという考え方にシフトできたのは大きな収穫ですね。
4.筆者はどういう人?
青野仲達さんは、ビジネス・ブレークスルー大学経営学部教授という若干怪しい肩書の方で、早稲田大学を卒業後、ハーバード大学の大学院でMBAを取得されています。
本書の題名にもなっている「ハーバード式」というのは、青野さんがハーバード大学で受けた、英語がネイティブではない人向けの英語の講義の内容を基に作っていることが由来になっています。
5.本からどういう事を学んだ?
5行エッセイの基本的な構造は以下の通りです。
- 1行目:自分の主張したいこと(趣味とか意見とか)の結論
- 2~4行目:それについての理由
- 5行目:結論の繰り返し
ちなみに、私が適当に書いてみると、こんな感じになります。
My Hobby : Game
Game is the vest hobby.
It makes us creative.
Cost-performance is great.
Concentration increases.
Game is wonderful hobby.
このように英語でエッセイを書いていって、不安なのは文法の部分ですが、自分のエッセイのチェックにおすすめされているのは「Lang-8」というサイトです。
このサイトでは、自分の英語の文をネイティブにチェックしてもらえる代わりに相手の日本ををチェックしてあげるという相互補助的なシステムをとっていて、無料で使えます。
「Lang-8」については、別記事を書いたので、興味がある方はチェックしてください。
【英語】ネイティブと楽しく助け合って英語を上達させるLang-8とは?【勉強法】
6.似たような本や読みたいと思った本は?
何かと最近ハーバードって名前の付く本が多いので、そういう本を読んでみたいですね。有名大学なので、授業や教える内容も個性的なものが多いと思います。
ハーバードの“正しい疑問”を持つ技術 成果を上げるリーダーの習慣[Kindle版]
ただ、今の時代には、ハーバードでなくても、多くの有名な大学が、公開講義などをネット上にアップしているので、そこから直接知識を得るのもいいと思います。
iTunes Universityとか、かなり多くの大学が講義をアップしてますし、YouTubeも字幕がついているので見やすくておすすめです。
火花 / 又吉直樹
日本人って本当に「特定の賞」が好きで、ノーベル賞なんかも本当によく騒ぎますね。他にも色々と歴史ある賞が存在するのに、メディアがお金になりそうな賞ばかり報道するから、多くの人が特定の賞だけすごいと思ってしまいがちだと思います。
研究とか学術の世界だと、「賞」って免許状みたいなもので、アカデミックの世界で生き残っていくためには早めに手に入れておきたいものなんですよね。村上春樹さんもエッセイの中で、「賞」がその世界の免許であるということをおっしゃっているので、文学の出会でも多くの賞を出して、新人と偉人の育成に励んでいるんでしょう。
前置きが長くなりましたが、火花についてご紹介していきましょう。
私自身は単行本ではなくて、文藝春秋の2015年9月号で読んだんですが、純文学をうたうわりに読みやすいというのが最初の印象でした。
純文学ってそもそも何なのか?
広辞苑でひいたところ、「大衆文学に対して、純粋な芸術を指向する文芸作品、殊に小説。」というご回答。むむむ、これはなかなか分かりにくい説明ですね。
恐らく、大衆文学が「娯楽性」を主に置くのに対して、純文学は「芸術性」を主に置いていて、文字や文章の作る美しさが評価される分野なのだと思われます。
そう言われても線引きは難しいと思うんですが、誰が判断してるんですかね?自分が「純文学だ」と言えば純文学として扱ってくれるんでしょうか?○○コンサルタントとか○○コメンテーターとかと同じ匂いがしてきましたね…。笑
ここでは、「純文学」は少し小難しい文章の本という多くの人が思っている印象で間違いないとしましょう。
内容としては、主人公で芸人の徳永、事務所は違うけど、営業先で出会った先輩芸人の神谷、この2人の会話がメインの日常ストーリーです。
この先輩芸人の神谷って人が、普通の人には理解できないようなセンスの漫才をするんですけど、そこに主人公の徳永が惹かれて仲良くなっていくんです。私が実際にその現場にいたら、「こいつヤバい奴だな」と思うレベルでハイセンスな人です。笑
物語は徳永の視点で進んでいくので、神谷がいまいち何を考えているのか、本気で言っているのか分からない状態が続きます。でもそれが面白い。
だいたい神谷みたいな類まれなるセンスを持った人って、孤高に生きるか、他の才能のある人と活動するかっていう生き方をするイメージが私の中であります。
でも、火花では徳永のような普通っぽい人に優しくして、先輩風を吹かせるのがとても人間らしくて、不思議と好きになってしまうんですよね。
それだけに物語が進んでいくうちに心が苦しくなります。
読み切って、とても上手く書けている作品だなという印象でした。世間では芸人がどうとか一時期騒がれていましたが、私個人としては、本職が何だろうと関係ないだろうという感じですね。
多くの作家って、本職が文学オタクで、副業として作家をやってるでしょう。だから文学的な表現が上手いし、人が思っていることをどんな風に書いたら伝わるかっていうことに長けているんだと思います。
本職が芸人で、副業が作家の場合には芸をするときの心境や微妙な空気感、どうしたら面白さが伝わるのかということに長けている訳です。
又吉さんは自分の長所を作品に生かしたから評価されたということだと思っています。もともと文学オタクでもあるでしょうから、文学表現が上手いのも頷けます。
できる研究者の論文生産術 ポール・J・シルヴィア
この本なんですけど、タイトルからして、何か難しそうな研究してる人向けでしょ?
って思われるかもしれないんですけどね、そうじゃないんです。
元々の英題は「How to Write a lot」
つまり、どうやったらもっといっぱい書けるの?ってことですね。
これって論文に限らず、自分の日記だったり、ブログだったり、家計簿だったり、
色々と自分の日々を振り返る時間をどうやって捻出するんですか?って話なんです。
でもでも、筆者は大学の先生なので、もちろん論文を書くことに特化した章も1つだけあるんですけれども、大体は生活習慣に対してのダメ出し。これです。
何でお前たちは言い訳ばっかりするんだ?
ちゃんと習慣づけて書き物でもしたらどうだ?
こういう最近だれも言ってくれないようなことを平然と真正面から言われる訳ですね。
「でもでも、朝早く起きるのはつらいし、ほんと仕事って大変なんだよ?」
とでも言い訳しようとしたら、
「はい、論破。」
ってな感じで本の中で全部この先生に論破されます…。笑
どんな言い訳も通用しないのが恐ろしい…。例えば、「気分がのってくるのを待っている」「インスピレーションが湧いた時が一番良いものが書ける」という言い訳に対しては…
「この最後の言い訳が、一番滑稽で、理屈が通らない言い訳だと思う。」
とかなりきついことをおっしゃっていますね…。こどものときには、親から「勉強しなさいよ」と言われると、「今から勉強するつもりだったのに、一気にやる気がなくなった」とか言い訳してましたけど、まさにそんな感じですね。笑
でも、そのあときちんと理由を添えて、やる気が書くことに与える影響や、どうしたらいいのかを説明してくれるので、論破して放置みたいなことにはなりませんので安心してくださいね。
一つ一つ自分の考える「書かないための言い訳」を論破されていくので、言い訳のしようがなくなっていって、最終的に書かざるを得なくなるという仕組みになっています。
結局簡単に筆者が言いたいことをまとめてしまうと、「書くこと」を習慣にしてしまえってことなんですよね。
読んだら忘れない読書術 樺沢紫苑
著者の樺沢紫苑さんは精神科の医師です。ご専門はうつ病や自殺についてのようですが、樺沢心理学研究所というものも設立されているようです。(お金持ちでうらやましいですね…。)
つまり脳内物質やシナプスの働きなど、脳の活動についてはエキスパートです。しかも医師の先生ですから現場で使えない、実践できないような方法はまず語らないはずです。
内容はというと、
いかに本を読むことが大切なのか
自分はどんな風にしているのか
と先生の実践に沿った内容が数多く記載されています。
中でも
「本を読んだら1週間に3回アウトプットしよう」
というのが印象的です。
①本を読みながらメモを取る、マーカーを引く
②本の内容を人に話す、勧める
③本のレビューを書く
のような手順を本を読んで早いうちにすることが、記憶定着を促してくれるようです。
また、隙間時間を活用することで記憶にとどめることや、心を動かすことで記憶にとどめるということを推薦されています。
私がおすすめしている本の多くがそうですが、
この本でもかなり他の本の引用や参考文献などが細かくまとめられて記載されており、
次にどんな本を読んだらいいのか?参考の本を読んでみたい!といった読者の要望に応えてくれるような作りになっています。
統計学が最強の学問である 西内啓
著者の西内啓さんは、東大で研究をされて、今はさまざまな会社のコンサルティングや統計についてのアドバイザーのお仕事をされているようです。
この本のいいところは、ストーリーの中にほとんど数学の式が無いことです。
詳しく知りたい方は巻末に計算式など詳細な情報が載っているので確認することが出来ますが、基本的に本文を読む際には計算をしたりする必要はありません。
そして、統計学が生まれてきた歴史からひも解いていき、社会、経済、会社の中でどのようにこの統計学が使われていっているのか説明してくれています。
従来のような現実味のない例題のついた教科書とは比べ物にならないくらい、スッと内容が頭に入ってきます。
統計学を勉強してるって感じではなく、社会の裏側を覗いている
そんな感覚で本を読み進められるんですよね。
研究で統計を使いたいっていう方にも、おすすめで、
痒いところに手が届くように、統計用語を丁寧に教えてくれます。
私のノートにもかなりのメモ書きというか内容のまとめが載っています。
それだけ内容が濃い本だってことですね。
ノートのまとめ方についてはこちらの記事を参考にしてください。
ちなみにこの本の続編として『統計学が最強の学問である[実践編]—データ分析のための思想と方法』という実践編も売り出されていますが、なかなか内容が難しくなっています。
もっと詳しく知りたい!という方以外にはあまりおススメできませんので、購入する際には気を付けてくださいね。
グラスホッパー 伊坂幸太郎
物語は【鈴木】【鯨】【蝉】の三人の視点で進んでいきます。
鯨は巨漢の男で、「自殺させ屋」として裏の世界で働いています。
蝉は若い少しネジが外れた男で、「殺し屋」として裏の世界で働いています。
どちらのキャラクターも物語の中心的な役割を担っていて、主人公の鈴木と絶妙に話の中で絡んできます。
鈴木は普通のサラリーマンですが、妻を殺された恨みを晴らすために、
殺した相手の経営する会社に潜入するんです…。
ですが、鈴木が潜入した会社は裏社会で活躍しており、ヤバいことをいっぱいやっていることがわかります。そんな会社ですから鈴木が妻を殺されて復讐で潜入してるんじゃないかってことはバレバレなんですね。
「後ろの男女を殺してみせてよ。あんたには関係ないただの男女だけど」
と復讐ではないということを試される時がきて、鈴木大ピンチ。
妻を殺した男で、会社の社長をやっている寺原も鈴木を試す場所にやってくるからと、
交差点近くに駐車した車で待っていると、信号の向こう側に寺原が見える。
その瞬間
ドン
寺原が車道に飛び出て車に轢かれた。
鈴木は寺原が車道に「押しだされる」瞬間を、押した人物を見た。
ここから鈴木は「押した」人物を追い始めて、物語が急スピードで動き出します。
裏社会の話がメインで、あまり現実味があるのか想像がつきませんが、
鈴木が「普通の人」なおかげで、しっかりと感情移入しながら物語を追うことができます。復讐を成し遂げたい、でも周りの人に迷惑はかけられない、でも自分もどうしたらいいのかわからない。
そんな鈴木なので「もっとちゃんとしっかりしてくれよ。」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、かなりリアルな行動や考え方だと私は思いました。
視点が3つあるのも読者を飽きさせずに、今誰の視点で話が進んでいるのかわかりやすくなっているので、普段小説を読まないという方でも、スムーズに読める作品になってるんではないかと思います。
この作品は読んだ後の後味もすっきり爽やかな方ですので、
空き時間にさらっと読み進めたい一冊です。
カクテルでも飲みながらおひとりで読んでみたらいかがですか。
まとめ:おすすめ本について
今回は色々なジャンルの書籍を現時点でまとめてご紹介しましたが、他にも読んだ書籍について個別の記事でまとめています。
もし気になった方はおすすめ本の書評・レビューに関する記事のまとめを書いているのでコチラからどうぞ!