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こんにちは、Ichi先輩(@Abstract1Life)です!
今回ご紹介したいのは筒井康隆さんの「旅のラゴス」です。
本書は、各メディアでかなり評価をされていて、私も早く読まねばと思いつつ、積読をしてしまっていた書籍の1つでした。私のブログを書いているメディアのはてなブログでも各所で読まれていて、おすすめ本として好意的な意見が多く見られます。
参考
「旅のラゴス/筒井康隆」は時代を超えて愛される小説だった | 心に火を、指先にペンを心に火を、指先にペンを
参考
1日1冊本を読む僕がおすすめの小説を10冊選んだ – しっきーのブログしっきーのブログ
参考
筒井康隆の旅のラゴスを読んだよ(ネタバレあり) – 散るろぐ散るろぐ
確かに途中で読むのを止められない、引き込まれる魅力的な世界が広がっていました。ただ、多少なりとも、冒頭に書いたラノベのような出来すぎた話のようにも思えてしまったのです。
内容とあらすじを追いながら、本書の魅力とラノベ感のあるラゴス無双っぷりをお話しましょう。
1.どんな本?あらすじは?
本書はラゴスがひたすらに旅をするストーリーを描いた小説です。ラゴスの旅の目的は、過去に書かれた書物を読んで、知識を得ること。つまり、学問の為に旅をしているワケです。
しかも、その学問に対する意欲が凄まじく、何年も書物庫に籠って時を忘れるほどにストイックに学問に生きています。この書物を読むために北から南の地へ危険を冒してまで旅をしていますから、どれだけ学問に対する熱があるのかということを伺えると思います。
全ての章が繋がっている長編物語なのですが、各章で違った行先に旅をすることになるので、それぞれの章が短編として読めてしまうぐらいに完成されている印象です。
楽しみ方として「今日は1章だけ読もう」というような読み方もおすすめです。一気に読むと258ページしかないので、さらっと読み終えてしまうかもしれません。
2.他の本と比べてどこがすごい?どこが面白い?
普通の場合、旅を描いた物語と言えば、あくまでリアルさにこだわるか、ファンタジーの世界でモンスターを出したりするか、そういうやり方が想像できるかと思いますが、本書はひとあじ違います。
基本的にリアルな人間たちの世界観を描いているのですが、要所にSFの要素が散りばめられていて、それが上手いこと世界観に自然と溶け込んでいるんです。
例えば、この世界の人は「転移」という、自分の思い描いた場所にワープできるような能力を使うことが出来たり、壁を抜けられる能力を持っている人がいたり、SF的な要素があたかも「え?転移?君は使えないの?」ぐらいの自然さで入り込んできます。
自然すぎていつの間にか世界観に入り込んでしまうような文章の巧みさが際立ちます。
3.この本の1番の魅力的なポイントは?
やはり魅力的なのはラゴスの無双感でしょう。
ラゴスは無条件に人に好かれるような、そういった雰囲気を持ち合わせていて、作中で登場するキャラクターにもそのことを指摘されています。
旅は北から南へと長距離を移動する危険な長旅ですが、旅先々で多くの人に好かれ、そして女性に特別に好かれて、モテまくりです。
そこはラゴス、学問に対してストイックなのでそんなこと意に介せずに無骨に接するのかと思えば、いつの間にか一緒に寝ています。自然です。いつのまにか寝ているのです。
「私は旅を急ぐ必要があった。」とかそういう感じの台詞を言っておきながら寝ています。ラゴスを擁護しておくと、やはり目的は学問の旅なので、その場所に執着せずに旅は続けていきます。
ただ、モテすぎて、いつの間にか2人の女王を持つ王様になってしまっていたりしているのが、何となく私の頭の中にラノベ感を醸し出したんです。しかもその事態を「学問の妨げ」と考えてしまう辺りがラゴスの凄さです。
「勉強もできて、人には自然と好かれるし、女性にモテて、いつの間にか王様になって、2人も妻がいるけど、勉強の邪魔だからだりぃなー。」的な感じですよ。若干のミサワ感すら感じます。
ただ、旅先で命の危機にあうような、そういう体験も色々としますが、プラスの要素が多すぎて、マイナス要素で打ち消せていない感がありました。でも、別に物語が楽しいからいいんです。ラゴスの無双感を楽しんでください。
4.筆者はどういう人?
筆者は筒井康隆さんです。有名な作品として、時をかける少女、パプリカ、私のグランパなど多くの作品を手がけています。
旅のラゴスは私の読んだはじめての筒井さん作品だったのですが、後に時をかける少女を書いている方だと知りました。
時をかける少女は小説で読んだワケではなく、アニメ版の映画で観たのですが、この作品も生活の中に自然とSF要素が入り込んできて、同じ方の作品だと強く納得しました。
他の作品はまだ手をつけられていませんが、おそらく上手くSF要素をちりばめた作品だと思うと、楽しいんだろうなと非常に魅力的に思えます。早く読みたいです。
5.本からどういう事を学んだ?
私にとっては旅と学問について考えさせられる作品でした。
旅については、以前記事を書いたことがあるのですが、何かに挑戦し、ただの距離的な移動だけではないラゴスの旅は、私の「旅」に対する考えを固めてくれるものでした。
また、学問に身を置く者として、ラゴスの学問に対する姿勢は見習わなければならないものという気持ちも芽生えました。
ラゴスが旅の期間どのように生活費を賄っていたかと言えば、元から持っていたお金を切り崩したり、旅先の人にお世話になったりと、いわゆる高等遊民(ニート)的な生活をしていました。
ただ、長い時間をかけてまで、過去の知識を得ようとする姿勢は、自宅ですら論文を手軽に読める我々が見習うべき姿勢であって、普通に生活をしながら「知」に触れられる環境にあるのは幸せな事だろうと思います。
せっかくの恵まれた環境ですから、生かさないともったいないですね。
6.似たような本や読みたいと思った本は?
やはり、みなさんがおすすめするような小説は素敵な作品が多いなと実感していますので、そういった高評価の小説には手を出していきたいなという考えでいます。
小説であれば、比較的ミステリーを読むことが多いのですが、今手元で積読されているのは「十角館の殺人:綾辻行人」「向日葵の咲かない夏:道尾秀介」の2冊です。
私はミステリーではない小説の選び方って難しいなと思うところが多いので、あまり自分で新規に手を出すっていう事があまりできません。
ただ、よく評価を受けている村上春樹さんの作品はちょっと読んでいて文体が無理だなと思って途中で止めてしまったこともあって(エッセイは好きです)、さらに手を出しにくいところなので、おすすめの作家さんがいれば教えていただきたいですね。
おわりに
旅のラゴスはあまり出会ったことのないような小説で、自分も旅をしているような、雄大な気分になって、ラゴスと過ごすことのできる作品でした。
仕事に追われて、生活に対しての視野が狭まっているような実感のある方には、こういう小説を読んで、少し解放されたような感覚を持つのも良いのではないかと思います。
普段あまり小説を読まないような方も、とてもスラスラと読みやすい作品なので、手に取って見て、1日1章ずつ読まれるのも良いかと思います。
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